行政書士が教える会社設立 法人化するメリットとデメリットのまとめ
建設業者の皆さま、お仕事お疲れ様です。
前回は、会社を設立した場合のメリットをご紹介させて頂きました。
じゃあ、逆にデメリットって何があるの?とお思いになられる方もいらっしゃると思います。
事業を始める方のお悩みの一つが、会社を設立するのが良いのか、個人事業主のままが良いのか、そもそも何を比較して検討すれば良いんだろう、そこが分からないな~ということではないでしょうか。
そこで、今回は、会社を設立する場合のメリットとなる点、デメリットとなる点を検討するポイントを多方面からご説明したいと思います。
目次
1 会社設立にあたってまず検討すべき点は?
(1)費用と時間は?
費用と時間はどのくらいかかるのでしょうか?
会社(以下法人という)を設立するには、大まかにいうと定款作成と登記が必要になります。
(詳しくは、後の回で会社設立の方法をご説明いたします。)
費用は、事業主様ご自身で会社の設立手続をなさる場合、定款に貼付する印紙代が40,000円、公証人役場での定款認証手数料が、52,000円、法務局での登録免許税が150,000円で
交通費等を除いても最低242,000円はかかります。
また、個人で会社の設立方法を調べて設立手続をすることも勿論出来ますが、定款の文言には特に注意を要しますし、公証人役場や法務局に足を運んだり、時間のかかることは間違いありません。
従って、専門家に設立の依頼をすることをお勧めしています。
ちなみに、電子定款にすると定款に貼付する印紙代の40,000円は不要になります。
もっとも電子定款にする場合専用ソフトが必要となりますので、それらを備えている専門家に依頼されると、ほぼ不要になります。
2 会社を設立した場合の信用度、資金調達は?
この点は前回、ご紹介させて頂きましたので詳しくはこちらをご覧になって下さいね。
ここでは簡単にご紹介いたします。
(1)信用度は?
前回の説明にもありましたが、対外的には「株式会社」との名称があることによる取引先の印象がかなり違うことは事実です。
また、法人登記には、資本金の記載もなされますので、取引先は登記で確認することが出来る点も信頼を得やすい要因といえると思います。
(2)資金調達は?
資金が必要なとき、金融機関などからの融資の交渉は、法人の方が有利と言われています。
なぜなら、個人事業主の場合は、家計と事業の区別があいまいで、青色申告で満額の控除を受けない限り貸借対照表の添付が免除されているため、どれだけ貸しても大丈夫かを判断する基準が明確ではなく、自然と審査が厳しくならざるを得ないからです。
従って、個人事業主が融資を受けようとする多くの場合には、第三者保証人を要求されます。
他方、法人の場合は、財産管理が厳格で、貸借対照表、損益計算書が作成されるので、金融機関側は、融資基準が明確に判断することができます。そのため、個人事業主に比べると資金調達の可能性が開かれているといえます。
3 事業年度について
個人事業主の事業年度は、1月~12月と決められていますが、法人の場合は決算日を自由に決める事が出来ます。会社の月々の売上額や繁忙期などを考慮して計画的に経営できるため節税対策等も実施しやすくなります。
4 経費について
一般的に、法人化した方が、経費に出来る費用が増加すると言われています。
例えば、個人事業主の場合、自らの給与は経費にはなりませんが、法人化した場合の代表取締役、その他役員への給与は経費として計上できます。
また、生命保険や、自宅兼事務所、自動車、退職金など法人化した方が経費として認められる幅が広くなります。
さらに、平成25年度から、法人が交際費を経費としてあげられる限度額が800万円に増額されています。
経費として認められる範囲が大きければ、節税できる可能性が高くなると言えます。
余談ですが、個人事業主の場合は、原則、家族に給与を支払うことは出来ず、青色事業専従者給与として税務署に届出をした場合のみ給与を支払うことが認められています。
5 社会保険について
法人化すると、健康保険と厚生年金保険への加入が義務付けられています。
その際、保険料が国民健康保険と国民年金に比べて高額になることが考えられます。
金額は、給与額に応じて決まりますが、ほぼ給与額に比例します。
この保険料は会社と本人が折半する形になるので、従業員が増えれば増えるほど会社負担は大きくなるといえます。
6 赤字の場合はどうなる?
個人事業主の場合は、赤字の金額は、翌年以降3年間の黒字金額から引くことが出来ます(青色申告の場合)。
他方、法人の場合は、赤字金額は、翌事業年度以降9年間の黒字金額から引くことが出来ます。
7 代表者、個人事業主が死亡した場合は?
(1)死亡した場合
個人事業主が死亡した場合、全ての財産が相続の対象になるため、相続税がかかりますが、法人の場合は、会社所有財産は、相続税がかかりません。
もっとも、経営者個人が所有していた株式は、個人の財産ですから株式には相続税がかかります。
(2)事業承継した場合
また、個人事業主が死亡し、相続が発生すると、個人名義の預金口座が一時的に凍結されるため、支払に困難が生じる事があります。
この点、法人の場合会社資産は、代表者の死亡とは切り離されていますので預金口座が凍結されるようなことはありません。
8 その他
税金は?
法人化すると、たとえ赤字であっても支払わなければならない税金(法人住民税の均等割7万円ほど)があります。
会社を止めたいときは?
法人が事業を廃止する場合は、解散登記費用30,000円、清算結了登記費用20,000円が最低かかります。
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以上、会社設立を考える際に、検討を要する大きなポイントをあげてみました。
いかがでしょうか?
一度にたくさんの情報があり、少し難しく思われるかもしれません。
会社設立に要する費用だけでなく、設立以後の税金や保険料等も大事な検討材料ではないかと思います。
年間の売上げがどれぐらい確保できていれば採算がとれるだろう・・。
会社の将来設計を描く上でどの点を重視するかは、各事業主様によって異なってくると思います。
会社設立をお考えの事業主様に、一つでも有利な情報提供が出来れば幸いです。
次回は、税金についてご紹介する予定です。
お悩み中の皆さま、お気軽にご相談くださいませ。
お役に立てれば幸いです。
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