行政書士が教える会社設立のメリットとデメリット 「決算期の決め方」
今回は会社を設立するにあたり、決めておかなければならない決算期(決算月)の決め方についてご紹介します。設立するなら、もっともメッリトがある業務がスムーズに進むように決めておきたいですものね。よろしければご参考になさって下さい。
目次
1 決算期とは何?
決算期という言葉をお聞きになられたことはありますか?
「決算期」とは、会社が定める一事業年度を言います。
決算月とは、一事業年度の最終月をいい、会社は決算期を1年以内の期間であれば自由に決める事が出来ます。
必ずしも、1期目の期間が1年に満たなくても構いません。
2 決算月はいつが良いでしょう?
では、決算期をいつにするのが会社にとって良いのでしょうか?
会社の業種や繁忙期の時期、節税対策など様々な考慮要素があります。その中でも代表的なポイントをいくつかご紹介したいと思います。
(1)繁忙期を避けること
繁忙期とは、一年間の中で会社の売上げが最も高くなる時期のことを言います。
まだ、会社が設立されておらず運用もされていないので、予想しづらいとは思います。ましてや会社の利益額は変動が大きく、利益がいくらくらいになるのか予想しづらいということもあると思います。
ですが、仮に売上利益が予想以上に多ければ、納税額も予想を超えて増えてしまいます。繁忙期直後に決算月がくると節税対策をしたかったのに間に合わなくて結果的に損をしたということもありえます。どういう業種で会社にとっていつ頃が繁忙期にあたりその利益がいつ頃に上がってくる仕組みなのかは、きちんと分析しておく必要があります。
逆に、予想より利益が上がらず、業績回復のための営業方針の見直しが計れなかったため、そのまま赤字で決算期を迎えてしまったということも起こりえます。
他にも、単純に繁忙期で忙しくて決算業務に手が回らないということも考えられます。
従って、繁忙期に決算期を設けることは避けた方が良いといえます。
(2)資金繰りを考えてみる
会社は、決算日から2カ月以内に法人税、住民税、消費税を納付しなければなりません。
これらの支払いは、会社にとって通常、大きな支出となります。この時期に他の支出(例えばボーナスの支払い、源泉所得税の納付、労働保険料の納付など)と重なると会社経営にとって厳しいこともあると思います。初めから余裕のある会社以外は、大きな支出が同時期に重なるのは避けた方が無難といえます。
(3)節税対策も必要
まず、会社設立時の資本金額が1,000万円未満の株式会社は、設立から1期目と2期目の消費税の納税義務の免除を受ける事が出来ます。
この免除期間を最大限利用するには、設立年月日から一番離れた時期を決算月にするのが良いことになります。そうすると最大で2年間の消費税が免除されることになります。決算期を設立年月日から間もなくにすると、短ければ1年と少しの期間しか消費税の免除の効果が受けられないことになってしまいます。
例えば、会社の設立年月日が6月1日の場合、
決算月を6月にした場合、1期目(6月のみ)は1か月、2期目(7月1日~6月30日)は12カ月の合計13ヶ月の免除期間となります。
しかし、決算月を5月にした場合、1期目(6月1日~5月31日)は12カ月、2期目(7月1日~6月30日)は同じく12カ月の24ヶ月の免除期間を得る事ができるのです。
もっとも注意が必要なのは、売上額が5億円以上になる会社から出資を受けていないことなどの条件があります。単純に設立から2期間が必ず免除されるとは限りません。
個別に異なりますので、詳細は確認して頂く必要があります。専門家へご相談下さいね。
(4)お勧めは
最後に、売上が多い月を事業年度の始めにすることもお勧めです。
なぜなら、売上が多い月から決算日までの期間が長ければ、年間の利益予測が立てやすいため、節税対策が立てやすいといえるからです。
以上のように、会社にとってどのような利益を優先させるかによって、決算期を決めるポイントは変わってくるといえます。
もちろん決算期は、後で変更可能なので、どうしても不便だということが分かれば、専門家にご相談下さいね。
次回は、役員報酬額を決めるヒントをご紹介します。
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